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31『蕨(わらび)の恩(おん)』
2011년 11월 10일 22시 01분
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작성자: 망향
31 『蕨(わらび)の恩(おん)』
―岩手県―
むかし、むかし、あるところにヘビがおったと。
春のポカポカした日に昼寝をしていたら、土の中から茅萱(ちかや)が芽を出して、とんがった先でヘビの身体を突き通してしまったそうな。
やがて目をさましたヘビは、
「フワァア、よく眠(ねむ)ったなあ、」
といって、ウ―ンと伸(の)びをひとつしたら、そこのところがズキンとした。
ヘビは長物(ながもの)だから、”ズキン”の伝わりかたが遅い。
節(ふし)のひとつひとつをズキン、ズキン、ズキン、ズキンと伝わって、ようやく頭にとどいたときには、ズキンの元のところが、もう痛くなくなっていた。
「いま、どこかが痛かったんだがなあ、まるまって寝ていたせいかなぁ。ま、いいや。どうれ、身体をほぐしにカエルでも喰いに行くか」
と、そろりそろり這い出しかけたら、身体が進まない。
「あれ?!」
と、また這い出そうとしたが、やっぱり動かん。
「おかしいなあ」
と、今度は思いっきり、グニュ―と伸びて這い出したら、そのとたんに、パチンとゴムみたいに縮こまってしまった。
「あいたたたたぁ!!」
ようやく茅萱に突き通されているのが分かったと。
「こりゃぁ、おおごとだあ」
と、尻尾をバタバタさせたり、クネクネしたり、茅萱にからみついたりして、いろいろもがいてみたけれど、どうやっても抜けない。
ほとほと困りぬいていたら、ちょうど腹の下あたりから、ワラビが萌(も)え出てきた。
ヘビが困っているのを見たワラビは、
「ヘビどん、ヘビどん、おらがお前の身体を持ち上げてやるよ。もうすこしのしんぼうだよ」
そういって、クルリと巻いた頭でヘビを、そろり、そろり、持ち上げた。
ヘビの身体を突き通していた茅萱は、ワラビの背が高くなるにしたがって抜けていって、やがて、スポンとはずれたと。
ヘビは大喜び。
「やれ、うれしや、ワラビどんありがとう」
と礼をいって、振り返り、振り返り頭をさげて、這って行ったと。
昔こんなことがあったものだから、今でも、野原や山でヘビに出会ったとき、
ヘビ ヘビ
茅萱畑(ちがやばたけ)に昼寝して
蕨(わらび)の恩顧(おんこ)忘れたか
アブラウンケンソワカ
と、三べん唱えると、ヘビは、ワラビの恩を思い出して、必ず道を開けてくれるそうな。
どんとはらい。
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