3-38『おれが大(おお)きい』
―香川県―
とんと昔もあったげな。
あるところに、片方の羽を拡(ひろ)げると千里、もう片方の羽を拡げるとまた千里ある大きな鳥がいたと。
われほど大きな生き物はあるまいと思い、大いばりで飛んでいたと。
飛んでいるうちに太平洋の真ん中あたりでくたびれてきた。ちょうど材木が二本、海の中から出ていたので止まったと。
休んでいると材木が動いて、下から、「わしの髭(ひげ)に止まるやつは誰だ」と大きな声がした。
「お前は一体全体何者だ」
と、鳥が問い返したら、また材木が動いて姿をあらわした。大きな海老だったと。材木と思っていたのは海老の髭だったと。鳥が、
「われは二千里の大きさだが、お前はどれ位大きい」
と聞くと、海老は、
「わしは五千里の長さだ」
という。
鳥は、バッサ、バッサと羽ばたいて元のところへ逃げていったと。
海老はおのれの大きさに気がついて、大いばりで海を泳いで行ったと。
いくがいくがいくと、くたびれたので海につきでた岩に足をかけて休んだと。
休んでいると岩が動いて、下から、
「おれの背中に止まるやつは誰だ」
と大きな声がした。
「お前は一体全体何者だ」
と、海老が問い返したら、また岩が動いて姿をあらわした。大きな亀だったと。岩だと思っていたのは亀の背中だったと。海老が、
「わしは五千里の大きさだが、お前はどれ位大きい」
と聞くと、大亀は、
「おれの体は一万里ある」
という。
海老はバネみたいにはじけて元のところへ逃げて行ったと。
大亀はおのれの大きさに気がついて、大いばりで海を泳いで行ったと。
いくがいくがいくと、くたびれたのでつるんとした小山のような島にあがって休んだと。休んでいると山が動いて、下から、
「おいらの背中に止まるやつは誰だ」
と大きな声がした。
「お前は一体全体何者だ」
と大亀が問い返したら、また山が動いて姿をあらわした。大きな蛤(はまぐり)だったと。大亀が、
「おれは一万里の大きさだが、お前はどれ位大きい」
と聞くと、蛤は、
「おいらは二万里ある」という。
亀は首をひっこめて、元のところへ逃げて行ったと。
大蛤はおのれの大きさに気がついて、大いばりで海の底をぞろいぞろり這(は)って行ったら浜辺にあがったと。
なおも這っていたら、小さい女の子が来て、その蛤を拾って籠の中へポーンと投げ入れたと。
蟻(あり)の目にドングリが入って
針(はり)で掘っても釘(くぎ)で掘っても取れなかった
杵(きね)で掘ったらぽーんと取れた。
[필수입력] 닉네임
[필수입력] 인증코드 왼쪽 박스안에 표시된 수자를 정확히 입력하세요.