3-45『葉(は)のない木(き)と葉のある木』
―岐阜県―
むかしあったと。
ある日の暮れ方、雀(すずめ)と烏(からす)が林に行って、楢(なら)の木に一夜のお宿を頼んだと。そしたら楢の木は、
「お前達みたいな者に宿なんかかせん」
というた。烏が、
「そりゃまぁ、困ったこっちゃ」
というたら、神様が来て、
「烏と木は助け合うて生ないかん。ひと宿ぐらい貸してやれ」
というた。そしたら楢の木は、
「木のなかにも格ちゅうもんがある。なんぼ神様がなかに入られても、雀と烏ではお宿が違います。他の鳥さんへのしめしがつきません」
というた。
「もちいっと、心易(こころやす)うは出来んか」
「出来ません」
「そんなら仕方がない。そんなら今日以降、お前達には、冬は葉のないようにしてくれる。それでもいいか」
「ああ、それでもええ」
「あい、わかった。お前達、冬には着るものとてない身すぼらしい姿をさらすがよい。
これ、雀と烏。わしと一緒に他をあたろうか」
「はい」「はい」
ちゅうて、他へ飛んで行ったと。
杉やら松やら檜(ひのき)のところへ行き、雀と烏が
「日も暮れかけたんで、一夜の宿を貸してもらえんか」
と頼んだ。そしたら檜も杉も松も、
「宿は難しい」
というた。神様が、
「鳥と木は助け合うて生ないかん。ひと宿くらい貸してやれ」
というた。そしたら檜と杉と松は、
「はい、神様がそれほどに言わるるのなら」
「おう、そうか、お前達はええ心根(こころね)じゃ。今日以降どんなときでも年中葉のあるようにしてくれる。
これ雀と烏、今夜の宿は決まった。これでわしは帰るぞ」
「はい」「はい」
雀と烏のうれしそうな返事を聞いて、神様は帰っていったと。
それで、今でも楢の木は冬には葉がない。
檜や杉や松たちは冬でも葉が青々とあり、また、ぬくとい家が作れる木になったんだと。
しゃみしゃっきり、なたづかぽっきり。
[필수입력] 닉네임
[필수입력] 인증코드 왼쪽 박스안에 표시된 수자를 정확히 입력하세요.