3-33『冬(ふゆ)の夜(よ)ばなし 「雪ばば」と「子とろ」』
―秋田県―
(『雪ばば』)
昔、あったおもな。
冬なってナ、雪コうんと降るどき、わらしコ達(だ)泣けば、雪ばばおりてくるど。
してナ、
「小豆(あずき)コ煮(に)えだが、煮えだかよ。
庖丁(ほうぢよ)コ研(と)けだが、研げたかよ。」
ってナ、まわって歩(あ)りって、泣いでるわらしコ達居(え)れば、連れで行がれるど。
ンだがら、おみや達泣かれねっや。
とっぴんぱらりのぷう。
ン、まだ語れってか。
ンだら、もひとつだけだゾ。
あんまし語っと、天井からネズミに小便(しょんべん)ひっかけられっからナ。
(『子とろ』)
昔、あったおもな。
夜 なってナ、雪コの降る音が聞こえるようなどき、いつまでも寝ねェでるわらしコ達いたら、山がら、子盗(こと)ろ、おりてくるど。
してナ、
「子とろ 子とろ
寝ね子は いねがあ
子とろ 子とろ
寝ね子は いねがあ」
ってナ、まわって歩りって、寝ねェわらしコ達居れば、窓がら毛むくじゃらの腕ェ延びできで、つかめェられで、連れで行かれるど。
ンだがら、おみや達、早よ寝ろじゃ。
とっぴんぱらりのぷう。
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